今井館ニュース48号寄稿

登戸学寮

 「主、家を建て給うにあらずば、建つる者の勤労は徒労(むな)しく、主、城を護り給うにあらずば衛士(えじ)の覚めをるは徒労しきことなり」(詩篇127:1-2)。

 2020年のオリンピックイヤーはパンデミック一色となり危機の年となりました。この大嵐のなか、学寮は護られて新たな航海を続けています。8月3日、二つの高気圧に覆われた力強い夏空のもと、築62年の男子棟改修工事が始まりました。仮設足場の気の遠くなるような上下左右運動の運搬、組立に始まり、この過酷な労働条件に耐え抜いた屈強な男たちが―スナフキン帽の黒装束の細身青年を交え―チームで学寮の改修に取り組みました。屋上には防水シートが美しく張り巡らされ、外壁の汚れは高圧洗浄により流され、養生に覆われた壁はシールと三重の塗装により見違える外観となっていきます。耐震工事はセメフォースアンカー様式によるもので最後にグラウトが流し込まれ盤石の壁面が出現しました。

 学寮の心(ソフト)に賛同くださる多くの方々の、次世代を担う若者への期待のあらわれとしてのご厚志がこのように具体的に形を成していきます。見えない所でのご労苦の果実により、そして建築現場の若者たちのエネルギーの迸りを介して、学寮は美しく甦りました。この場を借りて心から御礼申し上げます。学寮のハードが見ず知らずの青年たちに甦らされていくなか、学寮の若者たちは多くの愛に支えられて学寮のソフトをそれぞれの仕方で実らせていくことでありましょう。

 10月5日新しい表札の除幕をかねて玄関ポーチにて竣工式が行われました。讃美歌第二189番の歌詞を変え唱和しました。「丘の上の学寮へ、のぼる石畳み、春は桜の花びら、手のひらにうけてのぼる。ディンドン、ディンドン、ディンドン。夏はみどりさわやか、陰も涼しくて、高く口笛吹いては、肩組み合わせてのぼる、ディンドン、ディンドン、ディンドン」。

                    登戸学寮 寮長 千葉惠

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