「登戸学寮ニュース15号」が刊行されました。

「登戸学寮ニュース」15号ご挨拶

 空の高さ、虫の音、風のそよぎにようやく秋を感じるこの頃です。皆様におかれましてはつつがなくお過ごしにていらっしゃいますように。常々学寮をお支えくださり、ありがとうございます。ここに学寮の近況や先輩たちのお働きなどをお分かちいたしたく学寮ニュース15号をお届けします。若者たちは元気にそれぞれ未知の世界に挑戦しています、ヒマラヤに至るまで。

 わたしども同時代を生きる者たちとして、この美しい惑星の「沸騰化」、「疫病」の恒常化、やまざる「戦争」等尋常ならざる、心をいつのまにか抑圧し意気阻喪させる自然、社会事象に囲まれています。他方、人々の生活はテクノロジーの日進月歩のただなかにあり、身体の拡張、補完機能BMI(Brain Machine Interface)の躍進により身体の様々な障害克服を可能にする未来に希望を抱かせています。とはいえ、その基礎にあるAI人工知能がこのまま進化を続け、この身体と心をもったホモサピエンスが彼らに隷属するに至るかが真剣に問われる時代に突入しています。

 こういう時代に私たちに浮足だたずに落ち着きを与えるもののひとつは自然の循環の恵みです。「鳥の渡り、潮の満ち干、春を待つ固い蕾のなかには、それ自体の美しさと同時に、象徴的な美と神秘がかくされています。自然がくりかえすリフレイン―夜の次に朝がきて、冬が去れば春になるという確かさ―のなかには、かぎりなくわたしたちを癒してくれるなにかがあるのです」(R.Carson)。四季の循環に身を置き日常を繰り返すことができること、それが恵であることをわたしどもはようやく秋がめぐってきたことの安堵のなかで確認しています。「肉の弱さ」、この弱い心と身体をもった人間にとって、自然の循環のもとに置かれていることは生命活動の基礎であることがわかります。生活のリズムを自然のリズムにあわせ営みうることに感謝します。

 もう一つは「明日のことを思い煩うな」との慰めを今こそ聞きます。一切を創造し一切を正確に知り、人類と宇宙の歴史をキリストにあって導いておられる万軍の主の憐みを信じるとき、そこには信に基づく義・罪の赦しが成り立ち、そしてその信義はその果実として愛を生む力強いものであることを知らされています。この憐み→信→義→愛の螺旋的ループ・循環の深化は確かなもののうえにわれらの生が築かれていることを確認させます。秋をむかえ、学寮に関わる皆々様のご平安とご健勝をお祈り申し上げます。

    2023年10月       

登戸学寮 理事長 小島拓人 

寮長  千葉 惠

 

 
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