「今井館ニュース」54号寄稿しました

登戸学寮

 枡形山は空、風、色に秋を感じます。内外厳しい日々学寮は護られています。朝礼拝は「使徒言行録」です。不思議な業を伴い信仰が燎原の火のように地中海世界に伝っていきます。今日なぜ奇跡が起きないのかの問いには、ペテロの力を買おうとした魔術師シモンの態度がそれをよく説明しています。「神の賜物を金で手に入れられると思っている。お前の心は神の前に正しくない」(8:20)。イエスはただ憐みにより癒しの力を揮いました。「愛を介して働いている信が力強い」(Gal.5:6)。信に基づく義そして「義の果実」である愛への道だけが神に嘉みされます。一方で医療の進展等により当時以上の不思議な善き働きがなされる現代、他方で権力者による武力の行使等、力を愛以外の用途に行使する事例は枚挙に暇ありません。

 この秋、黒崎賞講演会において途上国在住で経済政策による支援に従事する先輩と教育、伝道に従事する先輩に講演頂きます。来寮の先輩に南原繁『国家と宗教』を指南頂くべく読書会中です。歴史は「神の国」と「地の国」の緊張のなか「必然的に」展開されると南原史観にあります。国家は、モーセ律法が福音を準備したように、自律の範囲内で生命を生みやすい自由と秩序の基盤を立法します。「生命は制度を生むが、制度は生命を生まない」(内村鑑三)。パウロは言います、「希望の神が、汝ら聖霊の力能のなかで希望に満ち溢れるべく、汝らを信じることにおけるあらゆる喜びと平安で満たしたまうように」(Rom.15:13)。この喜びが神の国の待望のもと、愛の働きを介して証を立てる力となります。先輩方の地の塩世の光の証に学び、乗り合わせた一つの体としての学寮がノアの方舟よろしく真っすぐに航海する励まし合いの場となりますよう祈る日々です。

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「方舟」63号が刊行されました

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第二回黒崎賞授賞式・講演会、HCD録画配信につきまして