今井館ニュース53号2022.7.31

登戸学寮

 枡形山の春は鳥たちの賑やかな囀りで朝を迎えます。4月初め霧雨のなか皆で山の満開の桜を愛で、6月初めに谷の水辺に舞う蛍を愛でました。桜花舞うなか新寮生9人を迎えて、64年の歳月を積んだ一つの方舟が帆を一杯に張り内外の荒海のただなかに滑り出しました。若者たちは新鮮な風を吹き込み、バスケや読書会が盛んになりました。学寮は週日毎朝7時から共に讃美歌を歌い聖書を開き、担当者が該当聖書箇所にコメントを加えつつ自由にスピーチします。パイプオルガン専攻の新寮生が前奏、讃美歌そして後奏を担当し、一同聴き惚れています。寮長は新寮生「依存症」になるほど、彼らは皆律儀に出席し、先輩たちによい模範を示しています。朝起きを「ドロップアウトし損ねた」新寮生たちはこの規律のなか夏休みになだれこむことでしょう。2年間通学の経験のなかった先輩たちは対面授業となり、適応への苦労が垣間見られます。4年生、大学院生はそのなかで内定を頂いています。

 朝礼拝では一昨年創世記からレビ記まで読み、昨年は詩篇150篇を完読しました。今年はマタイを終えヨハネにはいったところです。やはり新約聖書は若い魂によりインパクトを遺す様子が伝わってきます。

 緑濃い梅雨の日々、学寮は山頂までまた蛍谷までいずれも徒歩数分の中腹に構えよい眺望を与えています。この土地は「ゼロ戦パイロットの至宝」と呼ばれ2500時間の空戦を生き抜いた小町定氏とその妻で「パウロの時代に生まれていたならひたすら彼の伝道のお手伝いをしていたことでしょう」と言う黒崎先生愛弟子勝美氏夫妻の寄贈によるものです。昨年秋HCDで寮生たちは朗読劇「登戸学寮誕生物語」を演じました。志ある人々の一本の細い光の道としてほとんど奇跡的に学寮が創設に至ったことを知りました。この緑と鳥たちに囲まれる生活のただなか、その真っすぐな光跡をいつも思い返し、その最先端にいる自覚と感謝と賛美を新たにしています。

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参考:黒崎幸吉賞(趣意書、かがみ文2021年)